STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん

STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん

リハビリがてらの1発目!…ってよりにもよっていきなりギャルゲーかよ…って感じですけど気にしない方向でいきましょう。あの傑作とまで言われた『STEINS;GATE』のファンディスク的位置付けとして発売された今作は、アニメ放映などのメディアミックス展開もあってか他のギャルゲー群よりも頭一つ抜けて注目度が高いのです。個人的にも、世間的にも。

本編のシリアスな雰囲気は一切排除、ifストーリーが語られるシュタゲ版【らぶChu☆Chu!】

まず最初に、今作はあくまでギャルゲーであり、好評を博した『STEINS;GATE』のファンディスク的一本となっていることを忘れてはいけません。そこで語られる物語には科学的考察の入る余地は一切なく、主人公・岡部倫太郎と各ヒロインとの間で紡ぎだされる物語を読み進めていく言わば無難なギャルゲーに仕上がっており、前作ではあまり陽の目を見ることのなかったキャラにまで専用シナリオが用意されているあたりからも、まさに今作がファンディスク的存在である所以です。決して前作の後日談が語られるということはなく、前作の序盤から世界線をまたいで展開されるifストーリーであります。

そこまで「だーりん」してない?

ギャルゲーでありラブコメであることに間違いはありませんが、ラブ要素は少々抑えめに思えました。それこそ元祖「らぶChu☆Chu!」である『CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!』のセナや、普及の名作エロゲ『つよきす』の椰子なごみばりのツンデレ具合を今回の助手もといクリスティーナ(もとい牧瀬紅莉栖)に求めると泣きを見ます、確実に。ちなみに僕の妄想はプレイ直後にはじけてなくなりました。恋愛模様はやんわりと描きつつも、全体的なプロットとしては登場人物たちが繰り広げるコメディタッチな物語を主軸とし、終盤に近づくにあたり二人の距離は多少近づいたかな程度で直接的描写はどちらかと言えば避けているように思えます。

こういう言い方は怒られそうですが、『CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!』よりも元の世界観を大事にしているように見受けられました。『らぶChu☆Chu!』が「ありそうでいやでも本編のキャラ考えたら絶対ねーよ!」的お話だったとすると、『だーりん』は「ありそうでまあ“想定”されうる」お話という表現が正しいでしょうか。

ヒロインとのラブラブちゅっちゅではなく、『STEINS;GATE』という世界をちょっと角度を変えて楽しむのが『だーりん』です。だから前者を期待していた(重度な)HENTAI紳士の皆さんはどうぞお引き取りを願います。「前作プレイして面白かった」なライトなファンから、「ダルルートが実装されてないとか5pb.はアホなの?」とまで思うシュタゲに対する愛がほとばしる剛の猛者まで、つまるところ『STEINS;GATE』という作品が好きな人に向けられた作品です。

助手好きとしてはちょい不満も…

これはシナリオの内容自体に関する不満なので詳しくは書きませんが、全国の助手ファンに一言だけ残すとするならば、僕の主観ではありますがシナリオの出来は他のキャラよりも残念です。あー残念という表現は語弊を招くかもしれません。これはこれでアリなのですが、前作のメインヒロインをはった彼女への期待は他キャラよりも相対的に大きいにも関わらず、今作では特別扱いされていないところに一抹の寂しさを覚えた、という感じでしょうか。前作の秀逸なトゥルーエンドを見ているからこそ期待は膨らみハードルも上げてしまっていたのですが、そういう観点からは少々残念だったなと言わざるを得ないのが正直なところです。
しかし、どちらにしてもよく訓練された紳士ならば新シナリオというだけでプレイする価値があることは何より自身が分かっていることですよね。野暮ですよね。
助手含めた登場キャラの魅力に関しては普遍的であり、「このシュタインズゲートを作ったのは誰だあ!」みたいなどっかの美食家的反応を起こす方は少ないと思います。

総評

繰り返しますが、今作はファンディスクです。あくまで本編をプレイした人向けの作品であり、それ以上以下でもありません。…ですが、『STEINS;GATE』という作品には生半可なAVGとは比べ物にならないほどの魅力が詰まっていることをここに明記しておきます。そのファンディスクであれば、シュタゲを知らない人でも十分楽しむことのできるパワーがあることは想像に難くないでしょう。ただ、やはり今作を含めた「STEINS;GATE」の世界を包括的に楽しみたいのであれば、やはり最初にプレイするべきは元の作品である科学AVDシリーズ第二弾として発売された『STEINS;GATE』以外にあり得ません。
「俺は科学なんてどうでもいいからヒロインと恋愛のABCさせろ!(当然BCは描かれませんから!残念!)」なんて言う早漏なアナタ!その場合は止めません。『だーりん』も十分面白いのでむしろおススメします。ですが、真に楽しみたいのであれば『STEINS;GATE』をやってからにしましょう。それからでも遅くありませんし、何よりあの傑作を未プレイというのは人生の1/3を損していますよ…。

STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん(通常版) - Xbox360

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