電プレ掲載『那由多の軌跡』に関する近藤社長へのインタビューを読み解く

フラゲで一昨日くらいから色々と情報も上がってきていましたが、今一度理解を深めるために熟読しておこうのコーナー。ファルコムの若社長・近藤秀洋こと“こんちゃん”のインタビューをじっくり舐め回すように見ていきましょう。

――発表の段階で発売日、価格、特典まで決まっていたことに驚きましたが、開発はかなり進んでいるのでしょうか?
こんちゃん:(前略)じつは開発自体は2年以上前、『零の軌跡』を作っていたころから始めていたんですよ。それで『碧の軌跡』の開発が終わるころにはボスの仕様などはほぼ決定していました。

冷静に考えてみると、『碧』と『零』は世界観にしてもシナリオにしても二つで一つ、切っても切り離せない存在ですから企画の時点で同時に動いていたと見るべきですよね。そうなると2011年度には『碧の軌跡』しかタイトルを発売していないファルコムが、リソースを別のタイトルに回していたことは想像できた話だったなぁと。まあそれが『セルセタの樹海』だと思ってたから『那由多』の発表は驚きだったわけですが!

――RPGとしてシリーズを重ねてきた『軌跡』シリーズですが、今回ARPGとして製作した理由は?
こんちゃん:(前略)ファルコムのいいところを全部詰め込んだものを作っておきたい、と思ったのがきっかけです。例えば『イース』シリーズのアクションや、『軌跡』シリーズでつちかってきた世界観やシナリオであったり、それらを融合させた集大成的な作品として、本作は「ストーリーアクションRPG」というジャンルになりました。

PSPで作るアクションは『イース7』の実績があり、そこに『軌跡』シリーズの物語性が付加されているならば面白くなるのはもはや必然! 『軌跡』シリーズで培ってきたシナリオということは、とりあえず秘書とメガネが出てきたら全力で疑え、という解釈でよろしいか??

――ファンとしては、これまでの『軌跡』作品とのつながりも気になります。
こんちゃん:(前略)過去作品との大きな関連性は持たせていません。ですから、“英雄伝説”というタイトルも入れていないのです。

やはり新規ユーザーのことを意識しているのが伺えます。「大きな関連性は持たせていません。」という発言を言葉通りに受け取るならば、逆にファンサービス程度に微小の関連性はあるかもしれないとも取れます。僕が勝手に妄想するに、ゼムリア大陸よりも遥か昔みたいな、『軌跡』シリーズのルーツを辿るようなお話になっているかも分かりません。どちらにしてもそんな小さな関連性を押し出すことはあり得ず、新規ユーザーが今作を一からプレイしても楽しめるものにすることが大前提なんでしょう。

――フィールドのグラフィックがすごくカラフルな印象ですが、どのようなコンセプトで描かれているのですか?
こんちゃん:この世界には春、夏、秋、冬、の四季がありまして、ある程度コントラストに気を配りながらその特徴に応じてフィールドを描いています。

こういう話聞くとVitaでプレイしたくなる! 有機ELだとそのコントラスト比がより鮮明に映し出されていることは想像に難くありません。おそらくDL版も出ることでしょうからVitaでプレイするのも難しい話ではないんですけど、なかなかね、踏ん切りがつかない価格のハードではありますよね……値下げとか!?……ないよね、うん、知ってた。様子見でとりあえずUMD買う感じでしょうなー。

――背景もかなり緻密に描かれていて、こだわりが感じられるところですが……。
こんちゃん:現在並行して開発している作品も含め、いまファルコムではグラフィック面の強化に取り組んでいます。「これ以上は無理!」というくらい、PSPの性能の限界まで挑んでいますよ。

発言の至るところから『那由多』がファルコム作品のPSP最後を飾るタイトルになるであろう雰囲気がビンビンで、つまりそれは新たなハードへの移行を示唆するものでもあります。実際『セルセタの樹海』はVitaで開発が進んでいるわけで、そうなるとグラフィックの向上は避けては通れない壁と言えるでしょう。「グラフィックはまあファルコムだから仕方ない」なんてセリフを過去のものにできるのか、一皮むけたファルコムに期待したいですね。

――ズバリ、見どころというと?
こんちゃん:1つはボスですね。ボスもそれぞれに大きな特徴があって、演出やカメラワーク、動きのアイデアなど、全ボスがラスボスなみに凝っているんですよ。もう1つは、ナユタとノイによる連携アクション。基本的にナユタは剣、ノイはアーツで攻撃しますが、この2つの使い分けが戦闘のカギで、2つを組み合わせて戦えるようになると、爽快で見た目もハデな戦闘になるでしょう。

全部ラスボスなみは盛ってるでしょー!w まあしかし、ここまで自信たっぷりに言うならば素直に期待しちゃうのがファンの心情というもの。アクションRPGの面白さの真髄は、やはりボス毎に違った攻略法を求められるために試行錯誤している瞬間だと思っていますので、何だかここまで頼もしいこんちゃんを見ているとより期待しちゃう! このこんちゃんになら掘られてもいい……

ていうかナユタが剣でノイがアーツってまんま『ツヴァイ!!』やん!! 『ツヴァイ!!』はあののほほんとした空気も肌に合ってて結構好きな作品なんですけど、ファン以外にはあまり知られていないでしょう。現に続編である『ツヴァイ2』の売上はかなり悲惨なものだったらしく、そういったところからPCゲーム市場だけだと生き残れないと判断し、コンシューマに進出したという経緯があった気がします。そうなると今回の『那由多』は実質『ツヴァイ3』のようにも取れて、何だかファルコムの意地とか執念みたいなものが見え隠れする因果を背負ったタイトルっぽいですね。そこにブランド力としては申し分ない『軌跡』の名を冠したのは、最後の予防線なのか。まあ色々と開発の経緯が察せられて面白いです。

――やり込み要素として用意されている「博物館」と「ステージミッション」について説明をお願いします。
こんちゃん:ステージで入手した収集系のアイテムを博物館に持ち込むと展示してもらえるんですよ。(中略)メインのステージだけではなく、サブのステージにもたくさん隠されていますので、まさに遊びつくしたい人向けの要素になりますね。

「博物館」とか今度は『ツヴァイ2』を思い出さずにはいられない。まあいいゲームではあったからなぁ……そのまま枯らすのももったいないというところでしょうか。まあこういったやり込みは暇を見てプレイできる携帯機とは相性いいと思うので、歓迎すべき要素ですね。実績とも連動してると思うし、うまい具合にモチベーション保てそうかな。

――インタビューこぼれ話1
イース セルセタの樹海』についても本作と並行して開発中で、『じつは早くお見せしたいんですよ』と自信をのぞかせていた。去年のTGSでの反響がスタッフにはいい刺激になって、グラフィック面に大幅なテコ入れがされているとか。

確かに「これならPSPでもいける」とか言われてたからなぁ……。アクション性が『イース』してて爽快ならばファンは満足しますけど、新規ユーザー取り込むには視覚に訴える魅力が欲しいところですよね。それをしっかり受け止めて生かしているのは好感が持てます。それにしても、続報はしばらくおあずけということは、以前2012年度以内に発売するかもなんて予想しましたけどまずなさそうですな。決算的には2013年度、実質2012年の末とかが妥当かもしれない。

――インタビューこぼれ話2
インタビュー中には、まだどこにも情報が出ていない新作タイトルの話が飛び出す場面も! どうやら、これまでのファルコム作品にはない“新しい表現”を目指した第3の作品が開発中のようだ。

なんですかねー、どんな作品なんですかねー! 少なくとも『空、零、碧』に続く『軌跡』は出てくると思うんですけども。どちらにせよ『那由多』が発売しない内には出てこない情報でしょうし、色々妄想しながら待つしかありませんな!