PC版『イース7』が日本で楽しめる日は果たして来るのか

日本でも発売が待望されているPC版『イース7』。中国では6月20日に発売されることが決定したようです。

なぜ中国のみでの展開なのか、そこには様々な大人の事情が絡んだ結果かと思われますが、一番の理由は国内コンシューマ市場におけるファルコムの躍進、それに伴うリソースの配分がコンシューマ機に大部分を割かれるようになったからでしょう。売上の分散という余計なリスクも背負いかねないPC版とのマルチは、『イース7』や『零の軌跡』以降PS陣営で確かな存在感を示すようになったファルコムにとっては逆に手を出しにくくなってしまった領域なのかもしれません。

しかし、この圧巻のHD画質で今一度プレイしたいと思ってしまうのがファン心理であり、加えてPC版自体の需要が決して少なくないのも事実です。中国語であろうとPC上で動く『イース7』があるならば、あとはパッチを当てれば済むだけでありそこまで難しい話でもありません。もはやなかったことにされている感はありますが公式のマルチプラットフォーム展開のアナウンス(リンク先:PDFファイル)もあったことですし、ここで帳尻合わせる意味でも国内での発売に踏み切っていいのでは??と思わずにはいられない。

ただまあ、昨今のファルコムを顧みるにそのままPC版を発売する可能性はあまり高くないのかもしれません。例えば『零の軌跡』というタイトルにおいては、グラフィックの強化に加えてフルボイスという新たなウリを押し出し『英雄伝説 零の軌跡 Evolution』というタイトルでVita市場に送り出される予定ですし、その売上如何では『碧の軌跡』も同じレールの上に乗ることになるでしょう。こういった戦略からもファルコムがコンシューマ市場に特に力を入れていることが伺え、実際のところそれが功を奏して業績も右肩上がりとなればPC版を今更出すのは商業的にもあまり意味を持たない。そんな中でPC版『イース7』を中国で発売するのは、そういった理念に基づきながら中国のハード普及率を考慮に入れた結果にほかならないわけで、経営的にも合理的な施策というところなんでしょうね。

うーん、でもやっぱファンとしては残念かなぁ……。なんでもいいからアナウンスは欲しいところですよね。個人的に、まあファルコムの企業規模を考えればそんな体力はないでしょうけど、このHDリマスターをPS3とかで発売してくれればなかなか面白いかなとは思います。コンシューマ市場での更なる躍進を目指すファルコムの経営戦略にも合致するし、新たなファンを獲得する場所としてはPS3の方が色々と可能性を秘めている気がします。……ああ、それよりもVitaという選択肢がファルコム的には上なのかな。Vitaはビジネス的にまだまだ不十分な市場ですからリスクヘッジはどこかで求めるべきな気もしますけど、『セルセタの樹海』がVitaで絶賛開発中ならばシリーズ作品を同プラットフォームで展開するのはあり得るか。

まあどうなるかなんて分かりませんね! とりあえず少しでも何かしらの発表があればいいなとは思います。