『メタルギア ライジング』の実質的自社開発断念を受けて今後のコジプロを憂う

METAL GEAR RISING REVENGEANCE OFFICIAL WEBSITE

今回の件に関しては人によって受けかたは様々かと思います。かくいう僕も、何の音沙汰もなかった『ライジング』に対して一抹の不安を覚えていた矢先に今回の発表ですので、その衝撃は大きかったと言えましょう。

小島プロダクションという開発チームは、良くも悪くも「小島」という名前を冠しているだけあって小島監督のワンマンチームという印象がどうしても強いです。実際のところそれ自体に誇張はなく小島監督がいなければ『メタルギア』というタイトルが生まれることはなかったわけで、それはすなわち根本的に小島プロダクションという開発チームが生まれることもなかったというわけです(別の形で組織を率いるポジションに就いていた可能性は大いにありますが)。

ユーザーの目は年々肥えています。特にHD機に移行してからは、グラフィックの描き込みという部分だけでのごまかしはきかなくなっている一方で、ゲーム部分の面白さは当然求められるため開発陣に要求されるハードルはどんどん上がっていると言えるでしょう。そんな逆境の中でもユーザーの期待に応えてくれるのが小島監督の才覚であり、我々が「A HIDEO KOJIMA GAME」を望む最大の理由です。だからはっきり言ってしまえば、そもそも小島監督が関わらない作品に取り組む若手の方たちは最初からとんでもなくハードルを上げられているわけです。ユーザーにとっては小島プロダクションの作品であるという時点で、「A HIDEO KOJIMA GAME」と変わりない期待をかけられているのですから。それも今回の『ライジング』ではより顕著ですよね。スピンオフであろうとなんであろうと『メタルギア』という看板を背負っているのは紛れもない事実です。

ゲームデザインの部分で難航したというのは素人の僕にはピンと来ませんが、要はかみ砕いて言えばゲームの根本となる部分が出来ていないという話ですよね?それって正直どうなのでしょう。一流の開発現場が提供されていて、『MGS4』という大作ゲームを作り上げた実績があって、やっぱり無理でした、というのは「ゲームクリエーター」というプロにとってどれほどの決断だったのでしょう。厳しいことを言いますが、結局「小島監督がいなかったから作れませんでした」と露呈したようなものですよね。無論『メタルギア』という名の持つ重圧が開発を難航させたことは理解できますし、正直全く別のタイトルとして開発していれば(面白いものが出来上がったかどうかは別として)完成までこぎつけたように思えます。でも、それは言い訳にしかなりません。どんなに頑張ってもユーザーには完成したゲームの出来でしか評価のしようがないからです。

小島監督としても苦渋の決断だったことでしょう。『メタルギア』を冠する作品の開発を外部に委託するのは何よりファンの反応が怖いですし、非常に勇気のいる決断だったと思います。委託先の選択という意味では、プラチナゲームズを選んだのはさすがですよね。国内で考えれば、アクションゲーム作らせたらカプコンのノウハウが生きてるだけあって右にでる者はいないでしょうから。ただ、一コジプロファンとして考えると、その胸中は複雑だと言わざるを得ません。自社開発断念するというのはどれほどの事態だったのか…やはり小島監督がいなければコジプロのゲームはダメなのか…若手育成が上手くいってないことを如実に表わしただけにショックでした。

まあ…そうですね、愚痴ばかり言っても物事は前進しません。もうプラチナの元で開発は進んでるのですから、こうなったら『新生ライジング』にとことん期待することにします!『メタルギア』という名はついていますが、ストーリーやらも自由に変更されてしまってるっぽいので『メタルギア』の新作という意識は捨てて、ノリ的には『ベヨネッタ』や『デビルメイクライ』を待つ感じで!(神谷さんは関わっていないっぽいですけどね)