【体験版】BRAVELY DEFAULT (ブレイブリーデフォルト)

※3月28日から配信されている『BRAVELY DEFAULT Demo Vol.2 -絶望の勇者篇-』の感想です。

2012年に発売が予定されている3DS専用ソフト『ブレイブリーデフォルト』の体験版第2弾が配信されたのでプレイしてみました。

といってもそこまで大規模な体験版でもないので大したことは言えそうにないんですが、雰囲気ぐらいは知ることができたので、「今回のスクエニの新作RPG、どう思う?」という少しは需要のありそうな視点から見ていこうかと思います。

作品が纏う雰囲気はまさに「王道」

「王道ファンタジーRPG」をコンセプトに置いてるだけあって、世界観やシステム周りは見事に王道を貫いています。ジョブシステムなどの存在が確認できますが、それも『FF3』や『FF5』の系譜を継いだものであることが予想されるため、正直なところ新作RPGといっても『FF』ライクな従来のスクエニRPGから大きく離れたものになることはなさそうです。ただこの場合の『FF』とは「6」以前のSFC全盛期だったドット絵作品を指し、いわゆる昨今の野村絵FFというよりは天野絵FFに近い作風だと感じました。まあそれも当たり前ですね、デザイナーが違いますから。

吉田明彦氏と言えば真っ先に思いつくのが『オウガバトル』シリーズ。個人的に一番プレイしたのが『伝説のオウガバトル』と『タクティクスオウガ』なのでそこら辺を基準に言っちゃいますが、この人の絵は西洋ファンタジーの世界観に本当に良く映えるんです。あまり派手な彩色はしないため水彩画のような落ち着きがあり、その独特な雰囲気が西洋絵画に近いものを彷彿とさせます。

今回の体験版での舞台となる城下町ですが、移動せずにニュートラルな状態で放置するとこのようにカメラが引いて全体像を見せてくれます。吉田氏の背景アートがそのままゲーム内に取り込まれているということもあってか、その独特な雰囲気を最大限出していこうという姿勢が伺えて、こだわりを感じました。このゲームの魅力は何なのか、ユーザーにどこを見て欲しいのか、という点が明確なのは空回りさえしていなければユーザーとしても安心して受け止められますよね。王道だけあってそういった“安定感”があると思います。

テンポが若干気になる戦闘、製品版ではどうなるか

バトルは従来のターン制と変わりません。ジョブシステムなどの搭載やまだ見ぬ新要素で多少の変化はありそうですが、少なくとも『FF』のようなリアルタイム要素はなさそうです。

どこまでも王道を貫くスタイルには感服しますが、こういった作品の場合は如何にユーザーにストレスを感じさせないかが肝要です。すなわちテンポの良し悪しでプレイヤーに与える印象が180度変わるということ。『ドラクエ』を例にとってみましょう。「7」までは実質的に戦闘の視覚的なデザインが変わることはなかったためスピーディなバトルが可能でしたが、「8」では主人公たちの攻撃及び防御にカットシーンを取り入れたためテンポが変化しました。グラフィック技術の向上を考えると妥当な進化ですが、『ドラクエ』のいい意味での“飾らない”という伝統を壊したのは賛否両論だったと思います。事実、戦闘のテンポは微妙に悪くなっていたために結果的には演出を取るかテンポを取るかという諸刃の剣だったのですから。話を『ブレイブリーデフォルト』に戻しますと、主観的意見ですが微妙に攻撃動作が遅いのが気になるのです。一回の戦闘では微々たるものですが、戦闘を何度もこなすRPGにおいては長くプレイすればするほど尾ひれが付きそうで若干の不安を感じます。まあ戦闘に関しては制限ありまくりだったので今結論を出すのは時期尚早ですけどね。平たく言えば「ユーザーフレンドリーなゲームにしてね」ってことです。王道RPGはとかくユーザーに気を配ることが大事!

総評

まあ…色々言いましたけど良くも悪くも「雰囲気ゲー」って感じですね。尖った点は特になく世界観・システム共に基本を貫いていて、ユーザーに安心して遊ばせようという優等生的な作品かと思います。オリジナリティは皆無ですが、最近『FF』シリーズなどで顕著な開発側とユーザー側の理想における埋めようのない温度差みたいなものは今のところ感じられないため、今作が昨今のスクエニ作品に色々と裏切られた人にとっての一服の清涼剤になってくれればなぁ…なんてそこまで言ったら荷が重いですかね?まあ期待の裏返しというやつです、安心して遊べる作品というのは貴重なので。良い作品にして下さい!


■追記

さらに、「ブレイブリーデフォルト」のシナリオを林 直孝氏(5pb.Games所属のシナリオライター。代表作:『ROBOTICS;NOTES』『STEINS;GATE』『CHAOS;HEAD』)にご担当いただいたことも、合わせて発表いたします。

このエントリー書き終わった後に知ったこと。これはちょっと期待できそう!ようやく伝承やら神話やらの○ナニー的解釈から脱却する日がくるのですね!胸が熱くなるな…(まあそもそもスクエニ開発陣における戦犯的な方々は元から関わっていないのだけれど)